- 倒産理由が「人手不足」 これからは「人」の時代となる
出典:帝国データバンクプレスリリース
現在、「人が足りない」ことによる経営難が全国で問題となっている。従業員の離職や採用難などによるの人手不足が原因で倒産する企業の割合は、上記のグラフのように右肩上がりで増加しているのである。
つまり、企業がこれからの時代を生き抜くためには、「人の力」を引き出す経営をすることが必要になってくるのである。
そして、人材を活かす戦略には都心も地方も関係ない。大切なのは、その企業・地域・人が創り出すオリジナリティとどれだけ向き合い、カスタマイズした設計ができるかである。
- 「人の力」を引き出す経営戦略とは
それでは、人の力を引き出す戦略とは、具体的にどのような施策を指すのか。
本書にて紹介している事例から、ピックアップして一部お伝えする。
■効率化重視から変わるマクドナルド(該当箇所:p.32~36)
誰もが知っている大手ハンバーガーチェーン・マクドナルドは、世界で最もフランチャイズビジネスとマニュアル制作に力を入れ、人を効率的かつシステマティックに動かす仕組みを考えた。
しかし、生活水準が上がり、仕事の種類が増え、人が仕事を選べるようになった今、誰でもできるような単純作業ばかりが求められる仕事を、進んで選びたいと思う人はどれだけいるだろうか。
マクドナルドは、このような時代の変化を対応すべき課題として捉え、「人」を中心にあらゆる事業を組み立て直し、生まれ変わることを選んだのである。
例えば、2020年にパーパスを、「おいしさと笑顔を地域の皆さまに」と再定義し、ハンバーガーを売るビジネスではなく、クルーが提供するおいしさと笑顔を地域の人たちに届けるビジネスへと舵を切った。
マクドナルドはこれを「ピープルビジネス」と呼んでいるが、これこそ「人」を中心とした施策といえるだろう。
■従業員が一番のファンになるように考えよ(該当箇所:p.65~72)
企業の生産力を高めるために必要なことといえば、商品・サービス設計、コンセプト構築、発信など、いくつかの要素が挙がるだろう。
では、それらの仕事を担うのは誰だろうか。もちろん従業員である。
その意味で考えると、本当に企業や商品のことを知ってもらいたい相手、向き合うべき相手、ファンになってもらいたい相手は、顧客よりもまず従業員なのである。
これを実践しているのが、スターバックスだ。
水口貴文氏は、スターバックスコーヒージャパン株式会社CEO就任時、「従業員30%割引」の施策に取り組んだ。
こうして、内部事情を知る従業員が自社のファンになる取り組みをすることで、「やっぱりスタバのコーヒーは良いんだ」という強力なメッセージを、外部にも持たせることができたのだ。
これも、企業が自社の「人」を第一に考えたがゆえに生まれた施策といえるだろう。
- さいごに
「人の力」を引き出すことが、企業の成長と利益につながる。
その利益は従業員だけでなく顧客、ひいては地域にも還元される。企業が成長すれば地方が活性化し、人が集まり、そして彼らがその地域で働くことで企業がさらに発展する、という好循環が生まれていく。
かつて企業にあった「作って、売って、終わり」から、「『人の力』を引き出し続ける」ループ型へシフトするために、本書を一度お手に取ってみてはいかがだろうか。
- この本について
【目次】
■第1章 人の力を引き出す「エンパワーメント人材戦略」
■第2章 「エンパワーメント」に必要な意識改革
■第3章 「人」を巻き込むための「共通言語の作り方」
■第4章 エンパワーメントに成功した企業たち
■第5章 さらなる未来に向けて「エンパワーメント的採用」
【書誌情報】
出版社 : KADOKAWA
発売日 : 2023年1月30日
Amazon URL : https://amzn.asia/d/6eeNbMu
【著者プロフィール】
関野 吉記
株式会社イマジナ代表取締役社長。
London International School of Acting卒業後、イマジネコミュニカツオネに入社し、サムソナイトなど多くのコマーシャル、映画製作を手がける。その後、ビジネスの領域に転換、ステージを舞台や演出から企業へとシフトする。投資部門に出向し、アジア統括マネージャーなどを歴任。経営において企業ブランディングの必要性を痛感し、株式会社イマジナを設立。映像制作で身に付けたクリエイティブ手法を活かし、アウターとインナーを結びつけたブランドコンサルティングで、すでに2,700社以上の実績を挙げている。最近では活躍の場を地方自治体や伝統工芸にまで広げ、ジャパンブランドのグローバルブランド化を推し進めている。
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