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仏具のまちからプロレス×伝統工芸のコラボ興器(凶器)がついに完成!「凶器で反則」ならぬ「興器で販促」を目指す。まっする6で使用され、相手レスラーを見事に冥土送りに!?

富山県高岡市で400年以上続く伝統産業を引き継ぐ若手職人たちの団体『高岡伝統産業青年会※以下 高岡伝産)』は、当会の有志メンバーの手によって「プロレス×伝統工芸」のコラボ凶器を制作いたしました。

伝統工芸でつくられた仏像とパイプ椅子で戦う竹下選手(左)と勝俣選手(右)  ( 写真提供:まっする )伝統工芸でつくられた仏像とパイプ椅子で戦う竹下選手(左)と勝俣選手(右)  ( 写真提供:まっする )

高岡市は仏具製造シェア全国ナンバーワンであり、鋳造や着色、彫金や蒔絵などの伝統工芸が盛んなまちです。プロレス×伝統工芸のコラボレーションにより、高岡の伝統工芸の魅力を伝えるべく、職人たちの技を贅沢にあしらった凶器を3点制作。『凶器で反則』を『興器で販促』と言い換え、2022年3月29日-31日に北沢タウンホールで開催した「まっする6〜下北沢ONE PLUS ONE〜」へ提供。大入りの会場はレスラー達のアツい試合と伝統技術の詰まった『興器』により大盛況となりました。

3月31日(昼)の興行では、欠場となった上野勇希選手に替わって出場した透明人間選手を、『興器』を使用した樋口和貞選手が見事に冥土送りにするという結末を迎え、会場を大いに沸かせました。

伝統技術をあしらった『興器』は「パイプ椅子」「仏像」「半鐘と木槌」の3点が制作され、仏具職人による手彫りの彫金、実際の仏像にも使用される酸や炎を用いた伝統的な着色技法、金粉や金箔で細工する蒔絵の技術など、様々な技術が使われたものとなっており、いずれも伝統工芸職人の高い手仕事によって制作されております。
本取り組みは、「プロレス × 伝統工芸 」の異業種コラボレーションを通して、販売先となる寺院数の減少や発信力不足など、さまざまな課題を抱える高岡市の伝統工芸の新たな価値を発掘することを目指す若手職人から始まりました。

  • まっするとは?

 プロレスに2.5次元ミュージカルの要素をプラスし、2.5次元より0.4次元現実よりにした新たなエンターテイメント興行。2020年1月からスタートし、レスラーたちが「必殺技男子」や「パイプ椅子男子」などのキャラに扮し、歌アリ・踊りアリ・戦いアリの新たなスタイルのプロレス興行です。DDTプロレスリングの若い選手たちにフィーチャーし、その可能性を広げようと総合演出であるマッスル坂井 / スーパー・ササダンゴ・マシン氏が旗揚げ。プロレス初心者でもコアなファンでも楽しめる、まさにプロレス界の温度をあげる興行といえます。( #ひらがなまっする )

  • まっする6 × 高岡伝統産業青年会 のコラボレーション背景

 今回の企画は、異業種のプロを高岡に招き、職人による工場・工房見学ツアーや伝統工芸の魅力を新しい観点から再発掘してもらう座談会などの様子を動画(Youtube)で配信する「高岡クラフツーリズモTV」の企画の1つとして始まりました。( https://craft-tourism.jp/ )
以前より高岡伝産と交流のあった高岡市出身のTBSラジオプロデューサー橋本吉史氏を高岡の伝統工芸の「牽引者」に任命。そして橋本氏が牽引してきたのが覆面レスラーであり、まっする総合演出のマッスル坂井 / スーパー・ササダンゴ・マシン氏でした。同氏は富山県の隣県、新潟県で金型メーカー・坂井精機株式会社の代表取締役社長も務めており、高岡伝産会員と同じく地方都市で製造業を営む同業者でもあります。

 1日がかりの工場見学を経た2人と職人で戦略会議を行い、そこで生まれた企画が「伝統技術でプロレスの凶器を共同開発」というものでした。高岡伝産は仏具のまちだけに「冥土のお土産」「冥土in高岡」をキャッチコピーに活動しており、「リング上で対戦相手を冥土送りにする」ことを生業とするプロレスラーの業務と相性がよく、職人による異例の興器(きょうき)づくりへの挑戦がはじまりました。
 

  • 高岡伝産が手がけた「興器(きょうき)」の全貌

【パイプ椅子 -撲即是空- 桐箱入り】
プロレスといえば、パイプ椅子!まっするに登場するパイプ椅子男子へ捧ぐアイテム。

   ( 写真提供:まっする、高岡伝統産業青年会 ) ( 写真提供:まっする、高岡伝統産業青年会 )

<職人コメント>
廃棄されかかっていたパイプ椅子を回収し、今回の「まっする6」に向けて特別仕様に改修したものです。クッションは金襴・金襴緞子(きんらん・きんらんどんす)と呼ばれる生地に貼り換えました。金襴生地は、僧侶の袈裟や法衣・お寺の座布団などに使用される高級生地となっております。背面には『撲即是空』『撲』の文字をあしらった銅板を貼り付けました。酸や炎を使う伝統的な技法により、黒染斑紋色(くろぞめはんもんしょく)に着色加工した後、タガネと金槌をつかう職人の手彫りの彫金によって、文字と模様の細工を施しております。パイプ部分はサンドブラストで下地処理をした後に漆塗り風の塗装を施しています。

協力企業:
銅板の切り出し・曲げ加工 (笹島製作所)、クッションの張り替え(株式会社サカエ金蘭)、サンドブラスト加工(株式会社 平和合金)、パイプ部の漆風塗装(アルベキ社)、銅板の着色加工(有限会社モメンタムファクトリーorii)、手彫り彫金加工(和田彫金工房)、桐箱製作(有限会社ウラタ)

【仏像でぶつぞう専用仏像】
日本で二番目に有名なダジャレを表現した、プロレス史上において最もありがたい興器(きょうき)。

  ( 写真提供:まっする、高岡伝統産業青年会 ) ( 写真提供:まっする、高岡伝統産業青年会 )

<職人コメント>
殴打しやすい特別仕様として、仏像に真鍮パイプを取り付けました。仏像はレスラーのコスチュームをイメージし、衣服の部分と肌の部分を色分けした表現になっています。衣服の部分は銅像や仏像などでも使用されている伝統的な技法によって銅色に着色しています。肌の部分は真鍮粉を用いて落ち着いた輝きを表現しました。光背には金箔を貼り付けて煌びやかに光を反射させることで、後光がさす様子を表現しています。

協力企業:
仏像の提供・持ち手の接合加工(高和製作所)、加工用部品の製作(株式会社 梶原製作所 )、仏像への着色、加飾(有限会社 色政)

【本部席付近特化型興器(きょうき) 半鐘(はんしょう)と木槌】
プロレスのゴングを仏具のまち高岡で表現したら半鐘に。贅沢に金箔と金粉をあしらった木槌で打ち鳴らし、プロレスの安全と平和を祈願!

  ( 写真提供:まっする、高岡伝統産業青年会 )  ( 写真提供:まっする、高岡伝統産業青年会 )

<職人コメント>
砂型による鋳造で作られた8寸サイズの半鐘です。お寺の釣鐘の小さいサイズのもので、古くから寺院や陣中、火の見やぐらなどで使われ、遠くまで染みわたる響きによって人々の安全や平和を祈願してきたものです。半鐘と併せて打ち鳴らすための木槌も工芸の技術で加飾しました。漆風の塗装の後、金箔や金粉を使う蒔絵(まきえ)により、高級感の溢れる仕様となっております。

協力企業:
半鐘のレンタル(株式会社 梶原製作所)、木槌への漆風塗装(アルベキ社)、木槌への金箔・蒔絵加飾(漆芸吉川)

  • 高岡の伝統工芸の認知がまっするファンへ広がり、プロレスラー × 伝統工芸 で「興器(きょうき)で販促」の企画は大成功!

2022年3月29日〜31日に下北沢タウンホールで開催した「まっする6」は全5公演に及び、多くのまっするファン、そしてプロレスファンが来場しました。120分の公演のなかでは、パイプ椅子男子にPRの依頼が舞い込んだというストーリーのもと、まっする総合演出チームのユウキロック氏、みなみかわ氏が富山県高岡市の伝統産業及び興器(きょうき)に関するプレゼンを実施。

 ( 写真提供:まっする ) ( 写真提供:まっする )

 高額商品であるため“決して壊してはならない”という制約のもと、選手たちが興器(きょうき)を使って戦いました。米AEWへの長期遠征が発表され、今回が遠征前最後のまっする出演となる竹下幸之介選手も仏像を手に戦いに挑みました。また、公演中の歌のシーンでは「まっする6」音楽監督であり、東京2020パラリンピック閉会式の旗手入場曲「TOKYO AGITOS」を手がけたRAM RIDER氏により作曲された高岡テーマソング「We are the ハーデス 冥土 in 高岡」が初公開され、選手たちが興器(きょうき)を手に歌と踊りを披露しました。来場した観客からは「高岡というまちや技術を初めて知った」という声や、「リングの上で照明を浴びた興器(きょうき)と選手がすごくマッチしていた」という感想も聞かれました。

総合演出 兼 冥土おこし協力隊
マッスル坂井 / 覆面レスラー スーパー・ササダンゴ・マシン 氏のコメント

急遽選手が欠席になったり当日の朝まで調整がありましたが、精一杯ものづくりとプロレスが重なっていければいいなという思いでつくりました。コロナ禍ってプロレス会場では、お客さんがみんな笑い声を我慢してくれているんですが、そういう人たちが今日は心おきなく笑ってくれていたのが一番かなと思います。コロナじゃなければ大爆発だったはずです。台本は、実際に届いたものを見ながら書いたんですが、職人の技が詰まっていて、選手たちも興器を見てめちゃめちゃ喜んでましたね。もう最高でした。プロレスってバイオレンスがメインのエンターテイメントだって思われているかもしれないんですが、実は高岡伝産とコラボしたように、表現の幅の広さがあるんです。多様化する社会や価値観のなかで、今回のようにいいアウトプットの場にもなるという一面をみなさんにも知ってもらえたら嬉しいなと思います。

TBSラジオ「アフターシックスジャンクション」プロデューサー兼 牽引者   橋本吉史 氏のコメント

今回のまっするの公演をみて、「プロレス」と「伝統工芸」という伝統的に続いてきたものを、あえて新しい解釈をもって読み替えているという点でふたつはとても相性がいいんだと確信しました。まっするは、旧来的なプロレスの魅力はそのままに、普通のプロレスではあり得ないですが、台本があったりしてアプローチが変わります。でも見ている側のプロレスへのリスペクトが薄れるかというと、ますますプロレスってすごいな、ともともと持っている良さに気づかせてもらうんです。それを伝統工芸に置き換えると、仏具を実直に作り続けている人がいて、その魅力がわかりづらくなっているかもしれない中で、高岡伝産が若い人たちに「こんな技の使い方もあるよ」と見せてるんです。だって普通、廃棄寸前のパイプ椅子があんなに何百万もするようにみえます?!こういったアプローチで逆に技術力や魅力を伝える、両者のコラボは本当にすごいです。

  • Youtubeで公開中!マッスル坂井 / 覆面レスラースーパー・ササダンゴ・マシン氏とTBSラジオプロデューサー橋本吉史氏との興器(きょうき)開発までのストーリー

仏具を製造する“冥土のおみやげ工場”でのモノづくりの裏側をYotuubeの動画で見学できるツアー「高岡クラフツーリズモTV」(https://craft-tourism.jp)。今回の興器(きょうき)づくりの裏側もYoutubeでご覧いただけます(https://www.youtube.com/watch?v=TbVkZoRwVuc)。高岡クラフツーリズモは10年前からスタートし、小規模ながらも内容の濃いツアーを毎年開催してきたことでこれまで多くの“高岡ファン”を作ってきました。一昨年から続くコロナ禍において多くのゲストを招くことが困難なため、今年はゲストを毎回1組ずつとし、より小規模かつ濃厚な企画に仕立て合計4組の異業種のプロたちをお招きしています。
 

Youtubeチャンネル「市場街TVチャンネル」から配信中の高岡クラフツーリズモTVYoutubeチャンネル「市場街TVチャンネル」から配信中の高岡クラフツーリズモTV

■第1弾:
「町工場で創ろうぜ!富山県最古の酒蔵の県内最年少杜氏と考える、お酒と工芸の新接点とは?」(ゲスト:林酒造場 林秀樹 氏)

視聴はこちら: https://youtu.be/ar0wMyk5Jl4

■第2弾:
「とどけ、僕らのKAYOIBAKO!アニメ×伝統工芸!どんどん銅器も、どんと行こう!!」
(ゲスト:(株)P.A.WORKS 取締役・プロデューサー 相馬 紹二 氏)

 視聴はこちら: https://youtu.be/lp6SlhHzf90

■第3弾:
「フリースタイル工場行脚!?いつだって片想いの僧侶(アイツ)に会いたい」
(ゲスト:フリースタイルな僧侶たち 編集長 稲田 ズイキ 氏、フリースタイルな僧侶たち 編集 秦 正顕 氏 )

 視聴はこちら:  https://youtu.be/6U0uYrU8qbE

■第4弾:「プロレス × 伝統工芸」仏具のまち×覆面レスラー×ラジオプロデューサーがコラボ凶器を開発!? #4-1 異色過ぎるタッグチーム結成!
(ゲスト: 覆面レスラー スーパー・ササダンゴ・マシン 氏、TBSラジオプロデューサー 橋本 吉史 氏 )

視聴はこちら: https://www.youtube.com/watch?v=TbVkZoRwVuc

高岡の伝統工芸が今、とにかく元気で“変”で、オモシロイ!
その昔、工場の職人は世間から3K「きつい、きたない、危険」と呼ばれていました。しかしいま、高岡の伝統工芸の現場はとってもかっこいい!昨今、新社屋をオープンし国内外の賞を多数受賞している株式会社能作をはじめ、産業観光としての魅力も高まりつつある高岡市。時代の逆境にも負けない職人たちや、新しい価値観を持ち込み風を巻き起こす移住者など、その輪を年々広げながら、産地としての底力を高岡伝産と共に押し上げ、日々全国へPRしています!!

 

デザイン・アートディレクション

株式会社ROLE
https://www.role.ne.jp​

羽田純(株式会社ROLE)
1984年大阪出身。ギャラリーのキュレーションを8年間担当後、スタジオ「ROLE」設立。現在は富山県を拠点に、デザイン・プロジェクトのほか、ジャンルを横断しながらさまざまな『活動』の魅力をデザイン。 
JAGDA、TOYAMA ADC、高岡伝統産業青年会会員(44代会長)。
【受賞】TOYAMA ADCグランプリ/とやまクリエーター大賞/富山県デザイン展 大賞/ゴールデン ピン デザインアワード ベストオブデザイン賞(台湾)/JAGDA新人賞ノミネート 他多数

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