in

令和5年度「第43回伝統文化ポーラ賞」決定!!

 

 

NEWS RELEASE
令和5年7月  

 

公益財団法人 ポーラ伝統文化振興財団は、事業の一環である『伝統文化ポーラ賞』の令和5年度各受賞者を決定しました。今年は優秀賞2件、奨励賞2件、地域賞4件の合計8件を表彰します。
伝統文化ポーラ賞は、伝統工芸技術、伝統芸能、民俗芸能・行事など、無形の伝統文化の分野で貢献され、今後も活躍が期待される個人・団体に対し、更なる活躍と業績の向上を奨励することを目的としており、今年度で43回目を迎えます。今年度の優秀賞は、陶芸作家の石橋 裕史氏、能楽囃子大鼓方の亀井 広忠氏に12月13日に「ザ ・ペニンシュラ ホテル 東京」にて行われる贈呈式で授与されます。
また、無形文化財の魅力を多くの方々に体感していただけるよう、本年度の受賞者に焦点を当てた受賞者記念展を12月13日(水)から27日(水)まで「ポーラ ミュージアム アネックス」(東京 銀座)にて開催いたします。詳細は後日、改めて発表いたします。
弊財団は無形の伝統文化を次世代に継承すべく、これからも永く振興を続けてまいります。

 

 ■令和5年度「第43回伝統文化ポーラ賞」受賞者・受賞団体

■表彰内容

 1)優秀賞  賞碑・賞状・副賞(100万円)

   永年努力精進され、優れた業績を残して今後とも一層の業績を挙げることが期待でき、後進の指導

  ・育成においても継続的に努力し実績を上げている個人または団体。

 2)奨励賞  賞状・副賞(50万円)

   将来に向けて、大きな業績を挙げ、成長の可能性が期待できる比較的若い個人またが団体。

 3)地域賞  賞状・副賞(50万円)

   地域において永年地道に努力され、優れた業績を残して今後も継続・発展が期待でき、後進の指導

  ・育成にも努めている個人または団体。

 

■ポーラ伝統文化振興財団について

  「本当の美しさは、内面の美や心の豊かさを伴ってこそ初めて実現する」という想いの下、豊かな

  社会と文化の向上に寄与すべく、1979年に設立。日本の優れた伝統工芸技術、伝統芸能、民俗芸能

  ・行事などの無形文化財を対象に、保存・伝承・振興の活動を行っている。

 

 【ポーラ賞・ご取材に関するお問い合わせ】

  公益財団法人 ポーラ伝統文化振興財団事務局  鈴木(c_suzuki@polaculture.or.jp)

 

      〒141-0031 東京都品川区西五反田2-2-10 ポーラ第2五反田ビル3階

  TEL 03-3494-7653 (土日祝を除く 平日10時~17時)/ FAX 03-3494-7597

  HP:https://www.polaculture.or.jp/

       YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCqoBFBt6EVlEgj-PH-LbQ/

       Facebook:https://www.facebook.com/polaculture/

 

 

優秀賞:石橋 裕史「青白磁の制作・伝承」
 
■ 受賞内容について
青白磁特有の澄み渡るような美しさ。石橋裕史氏の手掛け

制作風景 マスキング制作風景 マスキング

る作品には、より一層の透明感が見受けられます。それを生み出しているのは、焼き上がったうつわに施す「サンドブラスト」という工程です。青白磁は白い石を原料とした磁器土(じきつち)を用い、焼くと青味の出る鉄分を少し含んだ釉薬(ゆうやく)をかけて作られます。一般的には、成形して乾燥させ、釉薬をかけて焼き上げるという4つの工程を踏みます。石橋氏がうつわに施す第5の工程「サンドブラスト」は、ガラス工芸の世界ではよく知られている装飾方法の一つで、強い圧力で砂を吹き付けて、面を削って模様を作り出すというものです。氏は自身の陶芸作品にサンドブラストを施したものを「彩刻磁」と名付け、1992年より現在まで制作を続けています。従来、本焼生(ほんしょうせい)という焼きの最後の工程で制作を完了としてきたやきものの世界において、さらに手を加えて表現をする革新性と創造性、その成果、そしてさらなる表現の広がりを探究し続ける姿勢、また、次世代の陶芸について後継者の育成に対する尽力が評価され、今回の受賞となりました。

 

彩刻磁鉢(さいこくじはち)平成22年 第57回日本工芸展「文部科学大臣賞」彩刻磁鉢(さいこくじはち)平成22年 第57回日本工芸展「文部科学大臣賞」

■石橋 裕史(いしばし ゆうし)プロフィール
昭和32年、東京都に生まれる。滴翠美術館陶芸研究所専攻科を経て、京都府船井郡京丹波町に築窯。「日本陶芸展」にて二度の大賞・桂宮賜杯を受賞するなど、多くの受賞歴を持つ。平成27年には京都府指定無形文化財保持者に認定。日本工芸会陶芸部会事務局長を5年に渡り務め、伝統工芸展及び陶芸部会展の鑑査委員としても活動している。ギャラリートークや講演会といった一般への認知を広める活動、後進の育成にも寄与している。

 

 

 

優秀賞:亀井 広忠「能楽囃子・大鼓の演奏」

 

■受賞内容について

令和元年8月28日「第2回古典芸能を未来へ~至高の迎と継承者~能楽 歌舞伎 囃子」(撮影:渞忠之)令和元年8月28日「第2回古典芸能を未来へ~至高の迎と継承者~能楽 歌舞伎 囃子」(撮影:渞忠之)

受賞者の亀井広忠氏は、亀井忠雄氏(人間国宝)を父に、歌舞伎囃子田中流前家元・九代目 田中佐太郎氏を母に持つという、邦楽界を牽引する一家に育ちました。現在は、能楽囃子葛野流大鼓方(のうがくはやしかどのりゅうおおつづみかた)十五世家元として、能楽舞台の第一線に立ち続けています。葛野流は能楽大鼓方の流儀の一つであり、流祖は16世紀に活躍した葛野九郎兵衛定之(かどのくろうひょうえさだゆき)と伝えられています。この人物は、豊臣秀吉や徳川家康に才能を認められた人物であり、徳川秀忠の代になると、公儀に召し抱えられました。葛野流はとりわけ多彩で複雑な音楽的構造を有するとされ、華やかで装飾的な手組(てぐみ:リズムパターン)が多いことや、曲の要となる部分に特殊な替の手組を打つことなども特徴の一つです。
平成9年には、歌舞伎囃子方として活躍する2人の弟、田中傳左衛門、田中傳次郎とともに、「三響會」を結成。能楽や歌舞伎囃子の良さを活かし、それぞれの囃子から刺激を受けながら活動を続けています。また、平成15年には「広忠の会」を発足。能楽の世界だけではなく、多種多様な伝統芸能のコラボレーションに取り組むなど、新しい試みにも挑戦し続けています。伝統を守り、技術を受け継いでいることと能楽の振興活動が認められ、受賞となりました。

 

■亀井 広忠 (かめい ひろただ)プロフィール

優秀賞 亀井広忠優秀賞 亀井広忠

1974年生まれ。父である亀井忠雄と、故・八世観世銕之亟(かんぜてつのじょう)に師事。6歳のとき「羽衣」で初舞台。以降、囃子だけでなく子方などでも数々の舞台を務める。平成16年ビクター伝統文化振興財団賞奨励賞、平成19年第14回日本伝統文化奨励賞を受賞。平成28年1月葛野流十五世家元を継承。国立能楽堂および国立劇場養成研修所講師。伝統的な技を継承しつつ、新たな能楽の表現を探究し、精力的に活動の幅を広げている。

 

 

 

奨励賞:岡田 泰「萩焼の制作」

■受賞内容について

制作風景 茶盌の削り制作風景 茶盌の削り

萩焼はおよそ400年前に萩藩の御用窯として開かれ、茶の湯で使うための陶器として名を高めました。その特徴は、ふっくらとした土肌を生かした柔らかな風合いにあります

。土が粗いため、焼くと釉薬との収縮度の違いから細かなヒビが生まれますが、そこから水分が浸透し、使い込むほどにうつわの色合いに変化が生まれます。これを「萩の七化け」と呼び、萩焼の大きな魅力となっています。岡田泰氏の作品は、萩焼特有の土肌が持つ温かさを保ちつつ、それを上品で優しい青色の美へと昇華しています。氏は毎日眺める萩の海から発想し、これを「淡青(たんせいゆう)」と名付けました。伝統的な技術や技法を駆使すると同時に、「今」を意識し、萩焼に全く新しい潮流を生み出している姿にさらなる活躍が期待されると共に、同年代の作家とのネットワーク構築の中心に立ち萩焼の振興に努めていることも評価され、今回の受賞となりました。

令和4年淡青釉茶盌(撮影:マキタオ モリツグ)令和4年淡青釉茶盌(撮影:マキタオ モリツグ)

■岡田 泰 (おかだ やすし) プロフィール
昭和51年、山口県萩市に江戸時代から続く晴雲山岡田窯八代目岡田裕氏の長男として生まれる。平成21年、日本伝統工芸展に初入選して以降、連続入選を重ねるなど数々の賞を受賞している。

 

 

奨励賞:萩岡 松柯「山田流箏曲の演奏・伝承」

■受賞内容について

第一回萩岡未貴リサイタル「初音曲」平成27年11月8日 紀尾井ホール第一回萩岡未貴リサイタル「初音曲」平成27年11月8日 紀尾井ホール

萩岡松柯氏は、艶があり美しく伸びやかな唄声や、箏・三絃(さんげん:三味線)の確固とした高い表現力、演奏技術が評価される演奏者です。山田流箏曲萩岡派は、明治から昭和にかけて活躍した名人、萩岡松韻(1864~1936)を初代の宗家し、150年以上の歴史を持ちます。
受賞者の萩岡松柯氏は、箏曲にとどまらず、河東節(かとうぶし)、長唄、胡弓など様々なジャンルの邦楽を幅広く学び、多彩な技術を習得することで、音楽表現をより豊かなものとしています。また、学校等における普及活動にも尽力しています。日本の邦楽界を担う演奏者として、今後の活躍が期待され、受賞となりました。

 

■萩岡 松柯 (はぎおか しょうか) プロフィール

 

奨励賞 萩岡松柯奨励賞 萩岡松柯

昭和59年、東京生まれ。幼少より、父4代萩岡松韻(山田流箏曲萩岡派家元)に手ほどきを受ける。その後、山田流箏・三絃を鳥居名美野師に師事。長唄を杵屋五三遊師・3代杵屋五三郎師に、河東節を山彦節子師、荻江節を2世荻江寿々師に師事。東京藝術大学音楽学部卒業。

同大学修士・博士課程を修了し、現在、非常勤講師として後進の育成に取り組む。平成31年、5代萩岡松柯を襲名。同年、日本伝統文化振興財団賞、文化庁芸術祭新人賞を受賞。創作曲公演、新作歌舞伎、CD収録等にも多数出演。

 

 

 

 

 

 

 

 

地域賞:山岸 幸一「植物染めの制作・振興」

 

■受賞内容について

平成17年うすはたの会ロンドン展出品作品を自然光で見ている様子平成17年うすはたの会ロンドン展出品作品を自然光で見ている様子

山形県最上川上流では、室町時代末期より紅花の栽培と染料への加工がおこなわれており、米沢市では米沢藩第九代藩主・上杉鷹山(1751-1822)の奨励で養蚕、製糸、染色、染織という一連の作業が武士の家内制手工業として成立しました。米沢市に生まれ、米沢盆地の最南端・赤崩(あかくずれ)の地に工房を構える山岸幸一氏は、蚕や染料用の草木を育てるところから、全て自らの手で行っている草木染織家です。氏が手掛ける「双紬(もろつむぎ)」(経糸(たていと)・緯糸(よこいと)両方を蚕の繭を煮たものを引き延ばした真綿から手紡ぎされた糸で織られたもの)は、軽やかでふっくらとした柔らかさがあり、紅花をはじめとする百数種類の草木から染め上げられた繊細な色彩の中に奥深い光沢が見て取れます。一切の化学物質を排し、自然の恵みを大切にした持続可能なものづくりで確かな製品を作り上げる技術、そして、その技術を次の世代に伝える活動、ならびに様々なメディアを利用した広く一般への普及活動が高く評価され、今回の受賞となりました。

「紅重ね」着八 第46回日本伝統工芸展入選作「紅重ね」着八 第46回日本伝統工芸展入選作

 

■山岸 幸一(やまぎし こういち)プロフィール
1946年山形県米沢市生まれ。1975年、流水へのこだわりから厳選して土地を探し、最上川源流の米沢市大字赤崩に工房開設。1980年、伝統工芸新作展初にて入選後、多数の入選入賞をかざる。

 

 

 

 

 

 

 

 

地域賞:篠原おどり保存会「篠原おどりの保存・伝承」

 

■受賞内容について

平成20年1月25日 篠原天満神社奉納(撮影:野本暉房)平成20年1月25日 篠原天満神社奉納(撮影:野本暉房)

「篠原おどり」は、奈良県五條市大塔町篠原に伝わる民俗芸能であり、戦国時代に流行した「風流(ふりゅう)踊」の系譜に連なる雅やかな踊りです。毎年1月第3日曜日、篠原集落に鎮座する天満神社の境内で奉納されています。「式三番」と呼ばれる奉納のための儀礼的な演目と、人々の楽しみのための芸能的な演目の2種類に分かれており、中世末・近世初期の流行歌である「小歌」を歌詞に採用し、男性が太鼓、女性が扇を持って踊る点が特徴です。篠原地区は、「木地師(きじし)」、すなわち材木から杓子(しゃくし:汁や飯などをすくう道具)や椀を作る職人たちが住んでいた集落として知られています。篠原おどりは、一説には村人に危害を及ぼしていたオオカミが退治されたことへの感謝の踊りが起源であるとも言われています。現在、20名ほどの伝承者たちがこの篠原おどりを大切に守り続けていることが評価され、受賞となりました。

 

 

■篠原おどり保存会の紹介

平成28年9月25日 第58回近畿・東海・北陸ブロック民俗芸能大会記念写真平成28年9月25日 第58回近畿・東海・北陸ブロック民俗芸能大会記念写真

昭和52年に奈良県無形民俗文化財に指定。式三番には、「梅の古木踊」「世の中踊」「宝踊」が伝わる。

 

 

 

 

 

 

地域賞:奥川 俊右エ門「大物ろくろ技法の伝承」

 

■受賞の内容について

令和5年白磁花器制作令和5年白磁花器制作

「磁器大物成型のろくろ技法」は伝承者が減少しており、奥川俊右エ門氏はその技を受け継ぐ「現代の名工」です。有田では江戸時代の中期より、この大物を作る技法が始まり、特に江戸末期から明治初期にかけては万国博覧会等への出品が隆盛をもたらしたと言われています。大物の制作にはまず図面を書き、部分に分けてろくろをひき、図面どおりに正確に作ったものをつなぎ合わせて形成するという、一般的な磁器制作とは違う独特の技法が用いられます。奥川氏の作る白磁は、つなぎ合わせた薄いうつわの肌に彫りによる繊細な装飾を施したもので、国内のみならず海外での評価も非常に高く平成13年には「青白磁花紋大皿」が大英博物館に保存されました。現在、有田町で大物ろくろの技を指導できる技術者は奥川氏ただ一人となり、佐賀県窯業技術センターでこの技を伝える「高度ろくろ研修」の講師を務めています。その優れた技術と後継者育成への活動が高く評価され、今回の受賞となりました。

 

白磁蕾花瓶(はくじつぼみかびん)令和2年第48回伝統工芸陶芸部会展白磁蕾花瓶(はくじつぼみかびん)令和2年第48回伝統工芸陶芸部会展

■奥川 俊右エ門(おくがわ しゅんえもん)プロフィール
昭和24年、佐賀県生まれ。佐賀県有田町の陶芸家(故)奥川忠右エ門の養子となる。昭和46年に日本伝統工芸展初入選後、国内外の美術館で作品が所蔵される。平成17年、黄綬褒章受賞。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地域賞:山之口麓文弥節人形浄瑠璃保存会 「山之口麓文弥節人形浄瑠璃の保存・伝承」

■受賞内容について

 

令和2年11月山之口麓文弥節人形浄瑠璃保存会練習風景令和2年11月山之口麓文弥節人形浄瑠璃保存会練習風景

宮崎県都城市山之口町麓地区には、「山之口麓文弥節人形浄瑠璃」が伝承されています。「文弥節浄瑠璃」とは、江戸時代の延宝~元禄(1673~1703)の頃に大阪で活躍した岡本文弥が語った、哀愁をおびた独特の節まわしのことを指します。山之口麓文弥節人形浄瑠璃は、岡本文弥の全盛期の頃の「古浄瑠璃」、すなわち義太夫節成立以前の芸態が伝えられている点が高く評価されています。使用される人形は、文弥節人形の初期の形態である「頭差込式」であり人ひとりが一体の人形を操る、いわゆる「一人遣い」です。江戸時代から明治初期に製作された27体の人形が今なお大切に受け継がれれ、使用されています。江戸時代の山之口では、郷士が藩境警備の番所で守備にあたっていました。本芸能は、この郷士たちが参勤交代の際に京や大坂で見聞、あるいは伝習した芸能が伝わったものであると考えられます。この貴重な民俗芸能を保存し、伝承し続けていることが称えられ、受賞に至りました。

 

 

■山之口麓文弥節人形浄瑠璃保存会の紹介

令和5年6月18日 山之口麓文弥節人形浄瑠璃保存会令和5年6月18日 山之口麓文弥節人形浄瑠璃保存会

江戸時代から続く、古浄瑠璃。第二次世界大戦中に一時は伝承が途絶えるものの、昭和26年に再興し、今に継承。同人形浄瑠璃は、平成7年「山之口の文弥人形」として国の重要無形民俗文化財に指定。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本活動は、企業メセナ協議会より認定された芸術・文化支援事業です。

あなたはどう思いますか?

コメント

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

    GIPHY App Key not set. Please check settings

    北海道 登別温泉をサウナツーリズムの聖地へ ~第4弾~ 熊サウナ完成!

    全国各地の魅力ある街を巡りその地の人々とともに“市(いち)”を開く 4年ぶりの「Creema Craft Caravan」は、長野県岡谷市・辰野町で初の二拠点同時開催!