アイヌ工芸の伝統が受け継がれる北海道・平取町二風谷(びらとりちょうにぶたに)から、“暮らしにとけ込むアイヌデザイン”を発信する「二風谷アイヌクラフト」プロジェクトが、富山県高岡市で107年続く世界的鋳物メーカー「能作」とのコラボレーションにより、新たなテーブルウェアシリーズを発売いたします。
平取町二風谷は、北海道内で最もアイヌ人口率の高い日高地方(北海道太平洋岸地域)において、住民の約80%がアイヌ民族(1999年時点)で構成される自然豊かな集落です。[金1] [本田2] 各地のアイヌ集落の中でも特に伝統が色濃く残り、アイヌ文様を施した木彫などの工芸技術とともに、自然を敬うアイヌの精神文化が受け継がれています。近年では、アイヌの集落を再現した「二風谷コタン」に伝統的家屋「チセ」などが復元され、周辺にはアイヌ工芸の工房が立ち並ぶ「二風谷アイヌ匠の道」やアイヌ文化博物館などがあり、アイヌ文化を伝える拠点として人気を博しています。
「二風谷アイヌクラフト」は、二風谷の伝統工芸を未来へつなぐことを目的に、2020年10月に始動。世界的デザイナー・コシノジュンコ氏を総合デザインディレクターに迎え、二風谷の工芸作家とデザイナー/メーカーとのマッチングにより、現代の暮らしにとけ込む新たなアイヌ工芸を発信します。
アイヌ語で「もてなし」を意味する『イサプテ〈i-sapte〉』を冠した今回のコレクションでは、江戸時代から400年以上続く鋳物製造の町・富山県高岡市から、既成概念にとらわれないものづくりで世界的メーカーへと発展した「能作」とのコラボレーションにより、錫(すず)製のテーブルウェア全9アイテムを発売。主に木彫りや刺繍に用いられるアイヌ文様を金属に施すことにより、新たな魅力が生まれました。
製品は、本プロジェクト公式HPと、「能作」の一部店舗で販売するほか、2月10日(金)〜23日(木・祝)には代官山T-SITEにてポップアップショップ『錫と。アイヌ工芸と。』を開催。今回発表するコレクションをはじめ、二風谷のアイヌ伝統工芸品、アイヌ文化をモチーフにした人気漫画「ゴールデンカムイ」オリジナルデザインの[マキリ(小刀)]などが並び、二風谷アイヌ文化の関連書籍と共に販売いたします。
自然界のすべてに宿る魂を“カムイ”と敬い、自然と共に暮らしてきたアイヌの精神文化を伝え未来へと受け継ぐ、「二風谷アイヌクラフト」の活動にご注目ください。
- POP UP SHOP「錫と。アイヌ工芸と。」
POP UP SHOP「錫と。アイヌ工芸と。」
期間:2023年2月10日(金)~2月23日(木・祝)14日間
時間:9:00〜22:00[金1] [本田2]
場所:代官山T-SITE 2号館1階(東京・代官山)
東京都渋谷区猿楽町16-15
販売商品(一部):
・能作×二風谷アイヌクラフト『イサプテ〈i-sapte〉』コレクション 全9アイテム
・過去コラボレーション商品(法被、万年筆など)
・[二風谷イタ(盆)](アイヌ工芸家・貝澤守作)
・漫画「ゴールデンカムイ」キロランケ* オリジナルデザイン[マキリ(小刀)](アイヌ工芸家・貝澤徹作)
*キロランケ:漫画「ゴールデンカムイ」登場人物
・二風谷アットゥシ(アイヌ織物)を使用した小物類(アイヌ工芸家・貝澤雪子/藤谷るみ子作)
・アイヌ文化関連書籍 ほか
*会期終了後は、能作一部直営店(本社FACTORY SHOP / パレスホテル東京 / コレド室町テラス)および 二風谷アイヌクラフト オンラインショップにて販売予定。また、3月上旬にはニューヨークでの展示販売を予定しています。詳細は公式HPにて順次情報公開いたします。
https://www.nibutani-ainucraft.com/
- 能作 × 二風谷アイヌクラフト
『イサプテ〈i-sapte〉』COLLECTION
アイヌの心を表すと言われる伝統文様をまとった、錫製のテーブルウェアコレクション全9アイテム。創業107年の鋳物メーカー「能作」とアイヌ伝統工芸作家とのコラボレーションにより、現代の生活にとけ込む新たなアイヌ工芸が生まれました。アイヌ語で「もてなし」を意味する「イサプテ〈i-sapte〉」を冠したテーブルウェアで、もてなしの心を伝えます。
隠鉢 13,750円 φ86×H60 筒形
全体にアイヌ文様を施した面と、伝統的工芸品 二風谷イタの特徴である魚の鱗を模した「ラㇺラㇺノカ」を施した両面で使える器。料理を覆う(隠す)演出として盛台の表面に乗せて使えるほか、扇皿の中央に配置するなどの組み合わせもお楽しみいただけます。
盛台 16,060円 φ170×H32
中央にアイヌ文様を施した面と、アイヌ民具の一つであるオヒョウという木の皮を柔らかくして編んだ袋[サラニㇷ゚]の網目を施した面を楽しめる盛り皿。隠鉢を乗せることも可能です。
平皿 10,450円 W188×D95×H16.5
伝統的工芸品 二風谷イタの特徴である魚の鱗を模した「ラㇺラㇺノカ」をグラフィカルに施した面と、アイヌの民具である[メノコイタ]をデザインした面を楽しめる長皿。扇皿と組み合わせて川をイメージした配置も可能です。
扇皿(サラニプ/アオトラ)
各9,350円 W95×D181×H16.5
写真左:サラニプ
扇形の皿に、アイヌ民具の一つであるオヒョウという木の皮を柔らかくして編んだ袋[サラニㇷ゚]の網目を施した面と、アイヌ文様を施した面を組み合わせました。隠鉢や平皿、複数の扇皿と組み合わせてのご使用も可能です。
写真右:アオトラ扇形の皿に、石の産地でもある平取町二風谷で採られた石の表面を写した面と、アイヌ文様を施した面を組み合わせました。隠鉢や平皿、複数の扇皿と組み合わせてのご使用も可能。様々な用途でお楽しみいただけます。
豆皿(丸/角) 各6,050円
写真左:丸 φ88×H60 写真右:角 W86×D86×H60
アイヌ文様が描かれた高さのある丸型と角型の豆皿。おつまみなどを盛り付けるのはもちろん、アクセサリートレーなどにもおすすめです 。
カトラリーレスト(シク/モレウ)
単品 各2,200円 / 2種セット 4,400円 W90×H40
アイヌ文様を木彫などの工芸品では珍しい「抜き」で表現したカトラリーレスト。
写真左:シㇰ
アイヌ文様のパーツ「シㇰノカ(目のかたち)」をメインにデザインし、その中央にはアイヌの祭具[パスイ]の形を配置しました。裏面には魚の鱗を模した「ラㇺラㇺノカ」が施されており、アイヌ工芸の魅力を両面で楽しむことができます。
写真右:モレウ
アイヌ文様のパーツ「モレウノカ(静かに曲がる)」をメインにデザインし、その中央にはアイヌの祭具[パスイ]の形を配置しました。裏面には魚の鱗を模した「ラㇺラㇺノカ」が施されており、アイヌ工芸の魅力を両面で楽しむことができます。
- デザインコンセプト
”対極”(※)における「丸」(自然や地球、宇宙という完全なる創造物を象徴する)と「角」(人間が理論に基づきつくり出す合理的なものを象徴する)を用いて、木を主な材料とするアイヌ工芸と錫でつくる能作の鋳物を対極と捉えました。異なる2つの文化をこのコンセプトで結ぶことにより、唯一無二のデザインを目指しました。
(※)コシノジュンコのデザインコンセプト。2つの異質なものが相反しながらも融合することで生み成す美しさ。
総合デザインディレクション
JUNKO KOSHINO 株式会社 代表取締役常務 鈴木順之
- PRODUCTION MEMBER
コラボレーションパートナー:株式会社能作
https://www.nousaku.co.jp/
1916(大正5)年、高岡市の伝統産業である鋳物メーカーとして創業。 仏具・茶道具・花器が主力だったが、2001(平成13)年に東京原宿で開催された展示会「鈴・林・燐」に出展した真鍮製ベルが注目を集める。真鍮製ベルを取り扱ったショップの販売員のアドバイスにより、短冊をつけて風鈴にしたところ大ヒット。現在主力となっている錫製品も、販売員のアドバイスをきっかけに商品開発を行い、生まれたもの。錫100%製品の加工は技術的に難しいが、「曲がるなら曲がる食器をつくろう」というアイデアで、能作を代表する錫製品が誕生。2017(平成29)年に新社屋を完成させ、工場見学・鋳物製作体験・カフェ・ショップ・観光情報コーナーを備えた産業観光を推進。現在、国内外に13 店舗の直営店を有し、伝統工芸産業の成長モデルとしてメディアにも多く取り上げられ、全国的な知名度も高い。日本政策投資銀行「伝統ものづくり産業活性化調査」における伝統的工芸品の10 の成長事例のひとつとなっている。
- 製作担当者より
当社はこれまでも外部の方との連携により数多くの商品をつくってきましたが、今回はアイヌ文化を取り入れた新しい形の商品が出来ました。アイヌ文様など初めて知る部分も多かったのですが、鋳物メーカーとしてアイヌ文化を伝えることに挑戦できたように思います。また、流通市場を考えたとき、「アイヌ工芸品」には多くの可能性を感じているので、コラボレーションは良い機会となりました。一部の店舗とはなりますが当社直営店でも試験的に販売してみたいと思います。
コラボレーションパートナー
株式会社能作 代表取締役社長 能作克治
試作品を実際に手に取ったときは感動しました。特にカトラリーレストは、文様を抜きのデザインにすることでこれまでとは違った見え方となったのが面白く感じました。作ったものを曲げて使うということも新しく、刺激になりました。新たな発想を取り入れることで、アイヌ工芸の魅力を引き出す経験ができたので、今後も様々な角度からアイヌ工芸の魅力を伝えられるよう、ものづくりに取り組んでいきたいと思います。
開発チームメンバー
二風谷民芸組合 二風谷アイヌ工芸作家 川奈野利也
「錫」「鋳物」という、これまで自分が触れたことのない素材やつくり方を知れたことを面白く感じました。今後も、これまでの二風谷アイヌ工芸にはなかったような、新しい技術や素材とのコラボレーション、商品開発のプロジェクトがあれば挑戦したいと思います。また、これまで同様伝統的な工芸技術も学びながら、内外様々な製造者の方のお力を借りて、多くの方に手に取っていただける商品もつくっていきたいです。
開発チームメンバー
二風谷民芸組合 二風谷アイヌ工芸作家 原田祥吾
- 工芸作家について
開発チームメンバー / アイヌ文様のデザインおよび彫刻を担当
川奈野 利也(かわなの としや)
アイヌ工芸作家/平取町長知内出身
平取町生まれ。2008年より公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構(*)の平取地域イオル再生事業職員としてアイヌ文化の伝承活動に従事。二風谷民芸組合に所属し、若手作家としてアイヌ伝統工芸の作品づくりに取り組む。2020年に北海道アイヌ協会主催「北海道アイヌ伝統工芸展」に出展し奨励賞を受賞。
*令和2年度より株式会社平取町アイヌ文化振興公社
開発チームメンバー / アイヌ文様のデザインおよび彫刻を担当
原田 祥吾(はらだ しょうご)
アイヌ工芸作家/平取町二風谷出身
二風谷に生まれ育ち、2008年より公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構(*)の平取地域イオル再生事業職員としてアイヌ文化の伝承活動に従事。二風谷民芸組合に所属し、若手作家としてアイヌ伝統工芸の作品制作に取り組む。 2020年に北海道が実施する「アイヌ工芸品などの販路拡大・担い手育成事業」にも参画。*令和2年度より株式会社平取町アイヌ文化振興公社
工芸監修 / アイヌ文様や商品全体の監修を担当
貝澤 守(かいざわ まもる)
アイヌ工芸家/平取町出身
幼少期より、木彫職人であった父・守幸(1977年没)の彫刻を見て育つ。二風谷のイタ(盆)には先人の味わい深い技が生き残っていると、その伝承に努めながら独自の作品づくりに力を注いでいる。二風谷民芸組合代表理事、一般社団法人びらとりウレシパ代表理事、株式会社平取町アイヌ文化振興公社取締役などの公職多数。「貝沢民芸」店主。
2010年 国土緑化推進機構 森の伝承・文化部門「森の名手・名人」
2020年 伝統的工芸品産業功労者等経済産業大臣表彰
- about 二風谷アイヌクラフト
「二風谷アイヌクラフト」プロジェクト
https://www.nibutani-ainucraft.com/
アイヌ文化は自然との共生のなかで育まれ、さまざまな時代の変動を経ながら、アイヌの人々やアイヌ文化に賛同する人々によってその伝統が現代まで継承されてきました。本プロジェクトは、北海道のなかでも特にアイヌ文化が色濃く残る平取町二風谷で、アイヌの伝統工芸の技術を継承する地元の工芸作家が、現代のライフスタイルや多様な消費者ニーズに対応していくため、公募などにより選出されたデザイナーやメーカーとコラボレーションし、新たな発想を取り入れたアイヌ文化を伝える商品の開発をおこなう取り組みです。世界的ファッションデザイナーであるコシノジュンコ氏を総合デザインディレクターに迎え、「二風谷らしさ」を大切にしながら、二風谷アイヌ工芸の伝統を未来につないでいく一助となり、より多くの皆さまにお手に取っていただけるような商品を開発しています。
<過去発表作品>
「inuye(イヌイェ)」/ 万年筆
原田元輝(プロダクトデザイナー)×
貝澤守(アイヌ工芸作家)
「RATA(ラタ)」/ ボディバッグ
今福弘樹(プロダクトデザイナー)×
尾崎友香(アイヌ工芸作家)
「Apunno(アプンノ)」/ 折り畳み傘
白柳緋里(京都市立芸術大学在学 ※当時)×
原田祥吾(アイヌ工芸作家)
「kewotne(ケオォッネ)」/ ツボ押し
川村真優香(東京藝術大学大学院在学※当時)×
貝澤太一(アイヌ工芸作家)
2020 年度:「暮らしの中に新たなアイヌ文化を。」をテーマに、審査を通過した4 組の開発チームが商品開発を行い、7 アイテムが完成。
2021年度:「暮らしにとけこむアイヌデザイン」をテーマに、審査を通過した4組の開発チームおよび特別招聘枠として1組が商品開発を行い6アイテムが完成。
*今年度における本事業は、アイヌ政策推進交付金事業の一環で実施している「令和3 年度平取町アイヌ文化のブランド化推進事業」の一環として実施しています。
*過去のコラボレーション商品は、右記URL にてご覧いただけます。
https://www.nibutani-ainucraft.com/project/
*写真はすべて、2021 年コラボレーション商品。
- 平取町二風谷のアイヌ文化について
北海道沙流郡平取町にある二風谷は、「ニㇷ゚タイ(木の生い茂るところ)」という意味などを持つアイヌ語地名に由来する地域です。太平洋側の⽇高地方に位置し、⽇高最長の大河・沙流(さる)川流域の谷あいに、まちが広がっています。はるか昔、沙流川のほとりにオキクルミというカムイ(神)が降臨し、⼈々に狩りのしかたや道具の作りかたなど、生活文化を教えたという言い伝えがあります。そのため、この地にはアイヌの伝統がいまも色濃く残されており、木彫、織物などの手工芸品を中心に、工芸技術が受け継がれてきました。
現在は、かつてのコタン(集落)が再現され、活動の拠点としてチセ(伝統的家屋)などの復元と、暮らしに関わる生活民具や祭具の複製など、アイヌの暮らしを伝えつなげる取り組みが行われています。この二風谷に継承された伝統技術でつくられるアイヌ工芸品には、木彫、織物、刺繍などの手工芸品があり、暮らしを育んできた沙流川流域で発展し、この地域ならではの特徴が見られます。また平取町では、レーザー加工機、UVプリンターを導入した取り組みが始まっています。これらの機器を用いることで従来にないものづくりが可能になり、二風谷らしさを兼ね備えた新たな商品開発が期待されています。
◆表記に関して
二風谷アットウシの「ウ」と「シ」
ラㇺラㇺノカの「ム」
サラニプの「プ」
シクの「ク」
ニプタイの「プ」
オキクルミ の「ル」
ラタシケプの「シ」と「プ」
カパラミプの「プ」
テクコクペの「ク」
チカラカラペ の「ラ」
アイウシノカの「シ」
シクノカの「ク」
は小文字で表現します。
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企画:株式会社ノーザンクロス
ディレクション:株式会社ワンオー
<Press release >
https://prtimes.jp/a/?f=d27699-20230201-6c2aa93f6d7d1d47fb57f646a6477062.pdf
<画像>
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